お前に花束を渡してもらいたい
小学校3年生の頃、転校する友達への手向けとして、花束を贈呈することがクラスの慣習であった。
当時、僕にはM君というクラスメイトがいた。放課後は毎週のように一緒に遊ぶ仲だった。そんな彼が1学期の終わりに転校すると聞かされた時は衝撃を受けずにはいられなかった。
M君のお別れ会の2日前。M君は、今でも鮮明に耳に残る、暖かい言葉を僕に吐露した。
「学校の中で一番の親友って呼べるのは、たなこうしかいない。だから、お別れ会当日は、お前に花束を渡してもらいたい。」
M君の口から放たれた、雑味のない純粋な言葉。そして何より、一番の親友と認めてくれていたことに嬉しさと感動を隠せなかった。
だけど僕は親友の最後の申し出を聞き入れることができなかった。嬉しさや感動よりも、恥ずかしさが勝ってしまった。M君からは更に2度ほどお願いをされたが、「恥ずかしいから...」といって彼のリクエストをはねのけてしまった。
結局、お別れ会当日はクラスの委員長がM君に花束を渡していた。その光景を眺めていると、M君と別れる悲しさよりも、もう二度と受けることのないM君からのお願いを聞き入れなかった自分の情けなさや悔しさが胸を締め付けていた。花束を受け取ったM君はクラスメイトに感謝の言葉を述べた。せめてもの思いを込めて、僕はM君に誰よりも大きな拍手を送った。
今ならそんな後悔はもうしない。恥ずかしさよりも、二度と訪れないその一瞬に彩りを飾るため全力を尽くすことができるようになったから。
でももし当時に戻れるのなら、僕がM君に花束を手渡し、「ありがとう、親友」と伝えたい。
寒い駄洒落こそアツい
投稿したツイートより。
塾講アルバイトの一斉授業にて。
僕「炭素の原子の記号は~?」生徒「Cです。」
僕「おぉ~素晴らシー!炭素だけにねwww」
生徒達「………」
僕「は~い、授業続けま~す。」
授業開始5分後。口をついて出た駄洒落が瞬間冷凍機と化して生徒たちを凍てつかせる。
止まらない発汗。滴る脇汗。教室内で僕一人だけが体温の上昇を抑えられずにいた。
「クーラー効いてるのに暑すぎだろ…」
寒い駄洒落は発言した本人を加熱させるヒーター、なツイート。
電車の中は役者でいっぱい
投稿したツイートより。
電車のロングシートに座ってウトウトしてたら後頭部を窓ガラスに強打。恥ずかしさのあまり寝たフリを続けながら薄目で周囲を確認。みんな気付いていないフリをしてくれていたので、その場にいた優しい役者全員に心からの感謝を送った。
その日はやけに眠かったので、電車内で睡眠時間を確保しようと思いながら乗車。
ロングシートに腰を下ろし目を閉じる。寄せては返す浅い眠りに身を委ねる。霞ゆく意識の中で、目的地までどれだけ仮眠をすることができるだろうかと考えた瞬間、
「ゴンッッッ!」
後頭部を窓ガラスに打ち付けてしまった。
今までウトウトしていた意識が急激な明瞭さを取り戻す。込み上げる恥ずかしさで眠気など皆無だが目を開けることが出来ない。仕方なくそのまま狸寝入りを決行し、薄目で周囲の乗客を確認した。
薄目に広がる光景はなんとも優しい世界だった。周囲の誰もが気付いていない(もしくは気にしていない)フリをしてくれている。僕の恥行は、その場にいた親切な役者たちの手によって揉み消されることとなった。
電車内のあらゆる役者のなかで狸寝入りをした僕だけが大根役者だった、なツイート。
左あばらにあてられた聴診器
投稿したツイートより。
お昼の内科検診でやたら聴診器を同じ場所(左胸、あばら付近)にあてられてたんやが、その場所が夜になって急に痛みだしたの不吉すぎて超(チョー)心気を砕いている。なんちって。(痛みはマジ) https://t.co/wcvAdnkoYX
ご年配の先生による聴診を受診。 右上半身では滑らかに滑っていた聴診器が、左上半身ではあばら付近でその動きが止まる。
首をかしげる先生。え、なに?こわ...
再度聴診器は右上半身に移行し円滑な動きを見せたあと左上半身に移動。またもやあばら付近で静止。
首をかしげる先生。いや、なんなん?こわ...
もしかすると肺の音が聞こえづらいのかと思い、少し強めに息をすぅはぁ。これぞとばかりすぅはぁ。するとなんとかOKサインが出たので診察室をあとにした。
深夜。ベッドに横たわり、いざ寝ようと布団を被った瞬間左のあばらに小さな痛み。よみがえる首をかしげた先生の顔。いやいや、不吉すぎやろ...
聴診器(ちょうしんき)で診察したら超心気(ちょうしんき)を砕く結果になったが、駄洒落を言える程度には重くその症状を捉えていない、なツイート。
誰かを守る姿には痛みがともなうこともある
投稿したツイートより。
ゼペリオン光線を打つ格好したら勢い余ってファニーボーンがビィィィンってなった https://t.co/5OLnkqQKqV
おかあさんといっしょ内で放送される「ガラピコのたためるかな」。洋服をきれいに畳む小さな子供の姿を流すコーナーで、子供達は畳み終わった後に最高の決めポーズを披露する。
洋服が畳み終わり披露されたある少年のポーズが、ウルトラマン ティガの必殺技「ゼペリオン光線」を打つ姿勢だった。世代である身としては、その決めポーズを見てしまったならば真似をせずにはいられない。脊髄反射的に両腕が動いた。
「ビィィィィン」
ポーズを決めようと力強く振り上げられた腕がもう一方の腕のファニーボーンに激突。片肘に駆け巡る電流。持続するビィィィィン。その痛みに悶絶する姿は、かつて憧れたヒーローの、世界の平和を守るために繰り出されるポーズからはあまりにもかけ離れていた。
正義のヒーローを夢見た頃の淡い思い出が産んだちょっとした悲劇、なツイート。
上がりすぎたテンションは最後までもたない
投稿したツイートより。
頂いた誕プレには持ちうる全ての感謝とボケを注ぎ込むスタンスの僕。それ故にプレゼントの包装ですら細部に至るまで事細かく誉めちぎりボケ倒す。中身を見た僕の反応を楽しもうとする贈り主達は、その目的を達成するまでに30分以上の時間を要するとは思いもよらなかっただろう。まぁなんにせよ、ありが https://t.co/P0o8beyPhh
突然のプレゼントに僕のボルテージはマックス。しかし、この勢いと興奮は、単なる喜びにではなく、「目に見える特徴すべてを丁寧に拾い上げていく」という僕のポリシーに注がれた。
まずはあり得ないくらいの感謝を示す。その後、包装の外観だけを誉めちぎること5分、10分...さすがに包装の紐すらほどかず、紐の色彩や包装紙の質感、形状や開封口の何気ない仕上がりにさえ好評を重ねる僕の姿に贈り主達もだいぶ飽きてきた様子。わかってる、だけどそうは問屋が卸さんよ。
はやく中身を見ろよと言わんばかりの表情を尻目に永遠に誉め続けること計30分...やっと包装を開きプレゼント本体に手を触れる。待ってましたと言わんばかりの贈り主達の表情。しかしその頃にはアドレナリンの枯渇と身体の疲弊を併発した僕の体力は残りわずか。渾身の力を振り絞り、手に取ったプレゼントを見て口をついてでた一言。
「へぇ~、ええやんこれ。」
テンションの使いどころと配分を間違え最後には勢いを失活させてしまう、まるで小学生男子、なツイート。
加速する肌の吸湿性
投稿したツイートより。
指先がしわしわになるの嫌だから入浴中はいつも第一関節から上だけを水面上に露出させてるんやけど、なんだかポーズがデーモン小暮だったから小声で「フハハハハッ」って笑っておいた。 https://t.co/KZT3ruhMpu
僕はお風呂のお湯には最初に浸かる派だから、指先がふやけてしまうと、指先に不快感を残しながら頭や体を洗うことになる。せっかく気持ちよくバスタイムを満喫するはずがそれだけでだいぶ台無しになってしまう。
そんな不快感を取り除くべく考案したのが、第一関節を水面から突出させる技である。
年齢を重ねるにつれ指数関数的に加速する肌の吸水性。決して加齢と比例関係にない吸水性とつきあっていくためにも入浴中の工夫が鍵となる。
だけどふと気づく。…ポーズがデーモン小暮やん。肩を崩しながら「フハハハハ」と笑ったのはここだけの秘密、なツイート。